熊泊山  くまどまりやま:標高:817.9(三角点:熊泊山817.90m)  

天地は不仁なり。万物を為して芻狗と為す:天地には仁慈の心はない。なぜならば、万物はそのなりゆきにまかせておくからである。これは実は逆説であって、天地が万物の自然のなりゆきにまかせることは不仁にみえるけれども、これこそ本物の仁だという考え方である。「芻狗」は芻(草)で形づくった犬で、のちの埴輪の起源となるもの。むかし、祭儀に神だなに飾られ、祭儀がすむと、もともと草であるから野原に捨てられる。本来尊くもなければ卑しくもない。ただ自然の時の移り変わりによって尊ばれもし、粗末にもされたまでである。そこに「芻狗と為す」とは、自然にまかすという意味に使われる。

 

原地形面が残る台地上の二次林と風衝尾根上のブナ幼樹&ダケカンバ二次林を歩く

三角点: 点名 熊泊山  等級 三等三角点  地形図 函館−臼尻  世界測地系緯度41°57′37″.2723 経度140°50′16″.2189 標高817.90m 平面直角座標系(番号)11(X) -226399.355m(Y) 48728.313m 基準点現況 履歴 [報告なし]  所在地 函館市字臼尻 点の記図 なしAY00043S:J1UpXp】

2007.01.13/ha、sa氏と3名→函館6:20→鹿部→黒羽尻川河口C4m.7:20→リサイクルセンターC130→林道がダムと発電所連絡路の丁字路に合流C412→西進700m(山側に大面積皆伐跡地あり)の新林道分岐丁字路C431→南進600mの三相送電線下に車デポ(c455.N41.58.34.93E140.52.08.14:函館から54km海岸から12km)7:35→送電線下を100m進み左折→北東尾根(傾斜変換点が私有・道有林の境界)の取り付きc500から急斜面35°を一気にC700着9:00→北西尾根との分岐c775着.9:50→熊泊山817.9m10:10-10:30→車デポ地点11:30常呂川源流・磯谷川源流にあり、烏帽子岳1078mから北東に延びる市町界の稜に位置する】

コースの地質は、更新世後期磯谷川火砕岩の黒羽尻川河口から沢を入り→間もなく中新世後期火砕岩→直ぐに更新世前期磯谷川火砕岩・角閃石ディサイトの解析谷の林道を上り、台地状の同火砕岩の原地形面に出る→車デポ地点が更新世熊泊山溶岩の末端にあたる。(展望する山岳は古い溶岩順に並べると、雁皮山・三森山溶岩→袴腰岳・烏帽子岳・横津岳・丸山溶岩→周辺一帯で最も若い時代に泣面山・熊泊山溶岩となる。万畳敷とともに原地形面が残る台地状地形は磯谷川火砕流とされ、熊泊山溶岩の基底になっている。溶岩帯は七飯町鳴川〜横津岳〜磯谷温泉への東北東方向を長軸に、大船峠から七飯スキー場までの幅で広い矩形ブロックをつくっている。磯谷温泉と大船尾温泉は磯谷川火砕岩周縁にあり、大船上ノ湯は深度-1m温度75°流量36l/minpH6.3泉質Na-Clであるが、ひろめ荘の無色透明のサラリとした湯は含重曹食塩泉、下の大浴場は乳白色含硫黄ナトリウム塩化物泉で日光によって色合いに変化がある


熊泊山は、亀田半島(中山峠から東南部)の盟主・横津岳1167mの南にある烏帽子岳1078mから派生する東北東方向の函館市と鹿部町の界をなす稜線上にある。つまり、横津溶岩台地から緩やかな地形の磯谷川火砕域を間に挟みより新しい熊泊山溶岩のピークで、東横津の800m超の三峰(丸山・熊泊山・泣面山)のひとつである。山名の由来は不明だが明治の頃の村名に熊泊がある(1906年 亀田郡尻岸内村が2級町村制施行(現在の恵山支所管内)。茅部郡臼尻村、熊泊村を併せて2級町村制施行「臼尻村」(現在の南茅部支所管内))。東横津一帯は広大な350m〜650mの台地状地形を森林が広く覆い、ヒグマの生息密度を彷彿とさせる領域である。

東横津の山域はなかなか近づきがたい。登山ルートは古くから知られる雨鱒川〜常呂川街道沿いの「鹿部丸山」(今は500m藪こぎ)。近年登山路が開設された「泣面山」がある。「熊泊山」は除雪された林道に恵まれて残雪期に登頂を果たした登山家がいる程度で登山路はもちろんない。夏路はおろか厳冬期もそのルートすら一般には定かでなく、七飯スキー場から横津岳〜烏帽子岳〜市町界経由で12km、黒羽尻川河口から林道経由で9kmはある。亀田半島の中ではなかなかの遠き山に挙げられる「熊泊山」であるから、日帰り登山としては堅雪を利用した季節の山であろう。先達二人の猛者から誘われて「うけぬは男の恥」とばかりに、二つ返事で同行をOKしたものの、このような理由から、地図とにらめっこしながらこの距離は、このコースはどうしたものかとおおいに不安が増していた。

寡雪の年明けである。何時にも増して函館の寡雪は記録的だそうだ。まして熊泊山は太平洋側の山域だからスキーは使えないだろうと、早朝6時の集合場所にて、みんなでそうふんだ。黒羽尻川河口から2.3km上流に市立のリサイクルセンターがあった。ここまでは通年通行可能だという。そのまま黒羽尻川の左の沢の除雪されていた林道〜ダム・発電所連絡路(分岐から700m)〜独立標高点470m南方の谷へと向かう新道路(分岐から600m)を合わせて4.5km進んだところに車をデポすることができた。林道を利用した冬期事業が行われていなければ、4.5kmの道程をほぼ2〜3時間かけて歩かなければならないところである。なんと一気に不安は解消した。デポ地点は、急登の取り付き尾根を目の前にして、発電所の方に向かう三相送電線のほぼ直下だった。北電の道路工事のために除雪されていたようで、舗装道路のように車は快調に走った。歩く距離は当初の9kmの覚悟がほぼ2km程度ですむ幸運にめぐまれた。(S氏の情報網が、既に林道が除雪されていることを察知していたか…?。)



@車デポ地のセンノキ、ベニイタヤ、ハルニレetc APから見る円錐状山体700mピーク B傾斜35°の締らない雪を行く

円錐形の溶岩の山体(北東に突き出た尾根)に取り付くことにした。スキーならばより緩やかな市町界の北尾根であろうが、最短急斜面を選択した。薮状の林を避けるため送電線直下を北西に100mばかり歩いてから南西に向って林に入り、150mラッセルしてその円錐体の直下に取り付いた。途中、やわらかい積雪のため、ワカンが地表まで落ちることが度々であったが、H氏がスノーシューであったから、後に続くS&Tの2人のワカンは大部楽ができた。それでも、円すい形状の尾根にかかると、なかなかの急斜面で、腰までの深さの雪に埋まったり、ササや木立に行く手を阻まれたりした。ストックとワカンで踏ん張りながら、スノーシューのラッセルの後を頑張って700mの円すいの頂点に立てた。斜面下部のC600mまでブナを除く広葉樹二次林、斜面上部はダケカンバ二次林であった。




CC700mの密生する二次林 DC730mのブッシュ状尾根 EC760mブナを混じる定高尾根
   

定高尾根を、残すところ1km弱進んで山頂に至るだけだ。苦しい急斜面はもう無い。ピーク780mまでは、高さが1〜3mの株立ちの多い低木状二次林と樹高4〜5mのブナを交えた二次林が続いた。さらに寡雪の尾根は、柔雪に足を踏み抜いたりヤマブドウに行く手を阻まれたり、ちょっと難儀した。案の定ここの尾根に出てもスキーは使えない。尾根の北面はブナを主とする広葉樹林で南面はダケカンバ二次林だった。C780mから頂までの吊り尾根は、本来なら立派な雪堤が発達する地形であるが、この寡雪で雪堤に発達する形跡は観察されたけれど、いまはまだとても雪堤とは言えない。適当な枝のあるところは、脚が埋まらないようにワカンでその枝を踏み付けながらスノーシューの後に続いた。うれしいことに、山頂を目の前にして、頂だけが六華のキラメキ、頂の上にぽっかりと青空が広がった。

四方の山々は雪雲で灰色だったが、熊泊山の登頂儀式は、暖かい陽射しのスポットの中だった。これは登山の心がけへのご褒美かとも思えた。東横津の山々の展望を楽しみながらいい時を過ごした。眼下に万畳敷も見渡せて、S氏から駒ヶ岳の降下火山灰がきっかけで集落が無くなったとも聞いた。いつ頃までか定かでない分教場もあったという山また山の奥で、万畳敷から磯谷川に落ちる断崖絶壁のかなりの比高を見ながら、今はいない当時の開拓者の苦闘を思った。熊泊山の東斜面は谷まで特異なダケカンバ二次林で占められていた。その成因をひとまず山火事説が有力と考えたい。登山コース全体は、繰り返し伐採されてきた履歴を持った領域と見たが。これらのことを考えると、開拓者等の生活は炭焼きなどの林業による金員収入に頼ったものと思われる。とても農業生産可能域とは考えにくい多雪・冷涼の地である。島牧の賀老台地は戦後開拓だが、それとの比較で生活の困難は如何であったか、生業の比較でその困難さは如何であったか…。万畳敷の南端アヤメヤチ辺りにあった山小屋「おんばこ荘」、そして赤川や陣川と万畳敷の連絡路が今も人の話に出ることがあるが、そこにはどんな生き方があったことだろうか。熊泊村は今の何処にあたるのであろうか・・・?。その生活を知りたいと強くも思った。

 ↑F頂を前に六華キラメク
(次のサイトもご一緒に)http://sakag.web.infoseek.co.jp http://kariba.txt-nifty.com/kariba/2007/01/07113ts_72da.html




G万畳敷から立つ泣面山  H三森山を背景に万畳敷台地  I山頂にて:青空のご褒美



J頂き直下のダケカンバ二次林 K未熟せっぴの頂きに憩うH&S L林道に穴持たずBear?の足痕


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