→index    ふとろだけ(瀬棚)1053.4m 〈点名 太櫓岳1053.36 m OOTENGUYAMA→世を挙って之を誉むれども、勧むることを加えず。世を挙って之を非れども、沮むことを加えず。→世間中がこぞってって自分をほめたからといって、それで大いにはげみ勇んで仕事をすることもない。反対に、世をあげて自分をけなしても、そのために、意気がくじけるかといえば、そういうこともない。つまり、かれは、世の毀誉褒貶について心を動かさなかった。

名峰ユーラップ岳に添ってひかえめだが端正な山姿がいい。1000超の頂きにブナの集団が自生するのも特異だ。

行程】200804.06(日)→峠(道道42号線の支庁界)から狢岱よりの北側の路肩に駐車:(8:00)→支庁界→標高点481m(8:30)→Co500m(9:30)→Co600m(9:45)→Co700m(10:05)→Co800m(10:30)→Co900m(10:45)→太櫓岳山頂1053.4m( 11:30-45)→車デポ地着(14:00) 今日は4月下旬の暖かさであると天気情報は伝えていた。雲の動き情報では、渡島半島の画像に午前中はそれは全く現れなかった。朝4時に起きて5時に出かけたが、日の出前というのに寒さは全く感じられなかった。太櫓岳はいくつかのルートが頭に浮かぶが、太櫓川に沿って林道を終点(標高点372m)まで進んで尾根に取付くのもいいルートだ(一本尾根で俺向きで迷い無く頂きに立てそうだ)。しかし、今春はどこも例年にない雪解けの早さで、加えて西斜面であって、残雪斜面を縫いながらでも前進できないかもしれないと考えた。したがって、今回は安定した天候だったから問題なく支庁界ルートに決まった。同行者遊山人。

三角点】 点名 太櫓岳  三等三角点 地形図 室蘭−遊楽部岳 緯度 42°14′21.9574  経度 140°01′49.6763 標高 1053.36  m (X) -195547.474 m (Y) -18118.438 m 現況状態 報告なし 所在地 久遠郡せたな町大字太櫓村字貉岱 点の記図  ×  :至近の一等三角点は「見市岳 1275.53m」 至近の二等三角点は「丸山標高 671.87 m」

太櫓岳】 は、渡島半島の分水嶺上にあって噴火湾に流下するユーラップ川と日本海側に流下する太櫓川に分水する山である。利別平野から見ると、テーブル状のスカイラインをなす渡島半島の名峰「遊楽部岳」の両翼に、右にピラミダルな臼別頭、左に端正なお饅頭のような形の太櫓岳がある。

コースの地形】 ほぼ分水嶺上の車をデポした地点から、幅広い緩斜面状の尾根に上がる(新第三紀中新世中期〜前期(国縫層以前)相当層。同じような幅広い緩斜面がかなり長く続いているが、その分水嶺は左に右にジャバラのように行き来する地形がであった。太櫓川の小沢とセイヨウベツ川の小沢が、交互に分水嶺の争奪合戦を展開しているようであった。Coが370m付近が道道からの取付きだったが、あっちに行ったと思えばこちら…と、このだらだらジャバラ地形が延々とCo530m付近まで続いていた。ガスったならば、地図読みがかなり面白い地形だと思われた。東に向ったり西に向ったり、やや退屈なコースではあるが、分水嶺の争奪合戦の様子は興味深くもあった。Co700m付近から、地形図のコンターが太櫓岳を中心に同心円状に描かれていた。円形に描かれたコンターの外縁付近からいよいよ隆起地塊の花崗岩類域に入る。この花崗岩類の領域は「熊石アルプス?」の主体を成して、南に10kmの見市温泉付近や、西に22kmの日中部海岸への広がりがあり、渡島半島最大の花崗岩類域になっている。

森林】 Coが370m付近からCo530m付近まで緩やかなアップダウンになって分水嶺が続いていた。その分水嶺を、右から太櫓川の小沢と、左側からセイヨウベツ川の小沢の谷頭が緩やかな地形となってそこを越えてつながっていた(鞍部)。こんなところは土地生産力が高いから、やはりトドマツ植林地の領域になっていた。面白いことに、両河川側から植林地を分水嶺に向って拡がっていたが、双方からの植林地は50m以上の幅で天然林を界にして見事に分断されていた。これは管理の主体が異なるから、お互いに境界に近づかない配慮が働いたからであろうが、ガスった時の山歩きにはおおいなる道しるべとなるであろうと思われた。この配慮は、分水嶺付近にブナの美林を残すことにもつながって、登山者には、ますます好ましい風景であった。地形図のコンターが同心円に描かれたあたりからダケカンバ林が発達してくる。あたりまえだがブナがここで消えるわけではない。依然としてブナがダケカンバに混じって上昇している。ブナが何処まで上昇しているか興味深かった。山頂にいたりチョットばかり驚いた。高さが4mばかりのブナが生えているのを見た。山頂から北側に標高を15mばかり下がった場所にはブナの群落があった。標高1000m超のブナ群落は初見であった。対岸の臼別頭ではどうであろうか・・・。山頂付近の森林は低木林の発達はほとんどなくて、予想しなかった森林の様子であった。袴腰岳1100m、白水岳1000mで低木状の孤立木があったが、これを最高地点と今まで考えていた・・・。渡島半島の森林帯的には、600mまでをブナ帯としたいが、このように場所によってブナ林が上下するのは、風であり、土壌であり、地形であり、山の大きさであったり・・・またこれも山歩きの楽しみである。

太櫓岳のブナの自生の様子は山塊効果が働いたのであろうか…。機会があったら、太櫓岳〜ユウラップ岳〜臼別頭と周遊して、このブナの自生の様子を見たいものと思った。
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