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ふもんないだけ1337.3m(点名 普門内1337.27 m)
   ひがしかりばやま1318.8m(点名 東狩場1318.76 m )
OOTENGUYAMA→世を挙って之を誉むれども、勧むることを加えず。世を挙って之を非れども、沮むことを加えず。→世間中がこぞってって自分をほめたからといって、それで大いにはげみ勇んで仕事をすることもない。反対に、世をあげて自分をけなしても、そのために、意気がくじけるかといえば、そういうこともない。つまり、かれは、世の毀誉褒貶について心を動かさなかった。

狩場山体の外輪(?)をなし、元町から狩場山を目指すときに通過するルートであって、江ノ島海岸からの遠望はアプローチの尾根を含めて雪の山容が高くそびえて美しい。亜高山帯にあるアオトドマツ-ダケカンバ群落は、渡島半島の森林帯論上の無視できない自生地でもある。

行程】200804.13(日)→島牧村元町→九助林道Co250m駐車:(5:40)→尾根取付き(国有林界)Co320m(6:00)→溶岩台地へ入口Co620m(7:00)→三角点668.4m→標高点904m(8:00)→Co1200m(9:00)→フモンナイ岳(9:30)→東狩場山(10:40)→Co960m( 12:30)→車デポ地着(14:10) 

 :11日(金)24時に雨の中を元町に勇躍到着したが、翌日も終日雨で12日は停滞日になった。12日(土)は元町集落のすぐ裏の高台を走る九助林道Co250m(残雪あって車の前進不能)に路上泊する。夜半から星降る狩場山塊となって、カシオテンサイ・・・並んで全天に星座が配置されていた。良く晴れた朝である。昨夕宿泊地を横切ったと思われる熊の足痕を後にして林道を進む。九助林道がCo300mで東に直折する付近が国有林界で、尾根の取付きでもある。ここからフモンナイ岳へのアプローチは、三角点668.4mの幅の狭い尾根か、標高点490mの幅の広い尾根か、どちらも選択できる。それぞれの良さがあろうけれど、この度は山に向って左側の幅の広い尾根を選んだ。台地に出てからS45W方向に一本調子の歩行で標高点904mの尾根に上がる。ここからはフモンナイ岳、東狩場山の山頂を視野に入れながらそれぞれの頂を踏んだ。このコースは急登尾根のCo300m~Co600m間の他は緩やかな幅広い尾根歩きで終始した。狩場山には、東狩場から2時間半で往復できると読んだが、あまりにも快適な狩場山塊の春山を歩く贅沢を”チョットは慎むべし”として、残る心を振り払って東狩場山を後にした。同行者Ko玉氏。

三角点】 ◆点名 普門内 三等三角点 成果状態 正常 地形図 久遠-狩場山 緯度 42°38′17.8028 経度 139°57′25.3128 標高 1337.27 m (X) -151229.1 m(Y) -24026.208 m現況状態 報告なし所在地 北海道島牧郡島牧村大字千走村字フモンナイ 点の記図 × ◆点名 東狩場 三等三角点 地形図 久遠-狩場山 緯度 42°37′06.8892 経度 139°57′59.3148 標高 1318.76 m(X) -153419.71 m (Y)-23258.961 m現況状態 報告なし所在地 北海道島牧郡島牧村大字千走村字ガロ 点の記図 ×

フモンナイ岳、東狩場山】  狩場山塊の山々には、狩場山1520m、フモンナイ山1337m、東狩場山1319m、前山1260m、オコツナイ岳1170m、天狗岳659mがあって、狩場山は渡島半島の最高峰であるが、第2峰フモンナイ山、第3峰東狩場山を抱える狩場山群でもある。永豊・江ノ島海岸からフモンナイ岳~東狩場山の頂を遠望できる。

コースの地形】 江ノ島海岸から三角点668.4m~フモンナイ岳~東狩場山へのほぼ全コースを遠望できて、登高ルートは緩やかな尾根が続いていることが分かる。いわゆる溶岩台地状の尾根を歩くことになる。尾根の取付き付近の他は終始ほとんど急登のたぐいはない。地質図からも、狩場山塊を広く覆うのは狩場山溶岩で、西は茂津多岬、北は原歌海岸、東は千走温泉付近まで広がっていて稜線部はほとんど広大な台地状に発達している。このことを地形図からも知ることができる。ルンルン気分の稜線の歩きやすさもそのためだが、一転ガスがかかったりするならば、小田西川源流部の爆裂河口状の深い谷や東狩場山の南面の崖等の露出する溶岩崖を隣り合わせているから、慎重な地図読みが強いられると思われた。溶岩は更新世もかなり最後の方の時代と思われるが、火口が発見されないので火山には分類されないそうである。素人目には、馬蹄形の小田西川源流部は噴火口に見える。オコツナイ沼は・・・火口湖?と思わせるがはたして・・・?。小田西川の源流部は北に開いた馬蹄形に配列するオコツナイ岳~前山~狩場山~東狩場山~フモンナイ岳に囲まれて大きな噴火口状である。馬蹄形の一方の端っこのフモンナイ岳に立ってオコツナイ岳・前山方向を谷向かって遠望すると、帯状に黒々と見える発達した溶岩壁はまるで圏谷壁のようでもあった。垂直の黒い壁となって前山やオコツナイ岳の雪の稜線から垂直に落ちていた。これは良く発達した安山岩質の節理であろうか・・・。小田西川を遡行して狩場山に立ったNum氏によると、源頭部は草付きと黒い壁のベルトを何回か繰り返したという。この黒い壁のベルトは美しい節理の発達した安山岩でなっていたのかもしれない。地質図を見ると、狩場山山頂から小田西川河口に向って、狩場山溶岩~黒松内層に対比される層(貫入安山岩~水冷破砕岩~軽石凝灰岩~水冷破砕岩)が並び、沢身に基盤岩の黒色泥岩(千枚岩質)を露出するという。地形的には小田西川の右岸も左岸も全域が地滑り地形に色塗られている。Num氏の小田西川遡行ばなしは、沢身の様子を語って興味深いものがある。

森林】 森林帯論の上では渡島半島の山地帯はブナ林として知られ、ブナ帯とも呼ばれている。その上部の亜高山帯はダケカンバ林がほとんどでダケカンバ帯とも呼ばれても良いくらいだ。本州も、北海道道の渡島半島を除く(ニセコ連峰~羊蹄山~鷲別岳ライン以北)地域も、亜高山帯は針葉樹林で特徴づけられている。それらに比べて渡島半島の亜高山帯ははたして・・・?。渡島半島の亜高山帯の針葉樹をあげれば、ハイマツ、イチイだけではないだろうか。いわゆる高木林を構成する樹種は見あたらない。そのことから、渡島半島の亜高山帯は”針葉樹林を欠如している”と言われている。全体的にはまことにそうだが、フモンナイ岳へのルート上にアオトドマツ・ダケカンバ群落がおおいなる広がりで見られるのは、渡島半島の森林帯を論ずる場合に、記憶されてしかるべき事実ではないだろうか。そんな意味で興味深い、楽しみも多いルートだった。


スカイラインは、東狩場山(左端の奥低く写る) ・フモンナイ岳(左側に主峰に写る) ・独立標高点891(定高スカイラインの右端)。 右下の深い谷間はフモンナイ川。 フモンナイ川から傾斜30度で左上する尾根が取付き尾根。 中央の森林に覆われたテーブル状の台地は三角点668.4。 テーブル状台地とフモンナイ岳をつなぐ傾斜10度程度の左上がり直線状の白峰がアプローチ尾根。
↑取付き:国有林のトドマツ植林地を通過して、トドマツ越しに見える尾根にいたる。トドマツ林内は、搬出路が縦横に開設されていた(手前のイタヤカエデなどの広葉樹林が民有林と国有林の境界
↑尾根を上がると、三角点668.4mが設置されている台地が広がっていた。ブナの巨木が残存していた。山地帯の原生的ブナ林の雰囲気もあった。ブナが北上してここに至ったのは何時ごろであろうか
↑原生的ブナ林に続いて、標高がほぼ700m台から亜高山帯に属するトドマツ・ダケカンバ群落が現れた。黒松内低地帯以南では、他に例がないトドマツ・ダケカンバ群落に目をみはった。↑図はトドマツ・ダケカンバ群落の林内
↑は900m台尾根から、上記トドマツ・ダケカンバ群落を遠望した。台地の肩から斜面はブナ-チシマザサ群集。眼下の砂浜は江ノ島海岸
↑オタダシ川源流域の台地(標高点・891~・778周辺の森林)にも、同様の濃密な亜高山帯のトドマツ・ダケカンバ群落があった(手前の崖はフモンナイ川左岸)
↑高木林帯を抜けて、低木林帯域の標高900m台の尾根に上がる。風をまともに受ける地形配置であった。そこは3~5mのシナノキ林が並びを壊されながらも、樹林帯をつくっていた

↑上記箇所からフモンナイ岳を遠望する。隣接して時にはハイマツが現れだした。この標高でハイマツが出てくるとしたら、おそらくそこは岩が露出するような土壌環境であろう
↑フモンナイ岳から東狩場山へ続く尾根と、東狩場山の西方(狩場山方向)の・1364 を望む
 ↑フモンナイ岳から狩場山の北面を望む(小田西川の頭:狩場山直登沢)を望む  
↑フモンナイ岳から前山(中央黒く写る溶岩崖の上)とオコツナイ岳(右端に写るの頂)。両峰を鋭く落ちる溶岩は地すべり頭だという(手前は深く切れ込む小田西川)
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↑フモンナイ岳を後にして緩やかな尾根を南に進むと、東狩場山が見えてきた。東西に長い、テーブル状の峰だった。三角点の位置は左端(東側、狩場山は右方向)
↑東狩場山の三角点があると思われる場所で:新規火山の狩場山塊と、千走川と泊川を挟んで、向こうに遠望できた山は、先第三紀(石灰岩を含む層)の大平山山塊

フモンナイ岳山頂:狩場山を背景に

東狩場山山頂:・1354を背景にして
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