. 桂岳 733.6m <点名 桂岳 標高733.64m> OOTENGUYAMA→世を挙って之を誉むれども、勧むることを加えず。世を挙って之を非れども、沮むことを加えず。→世間中がこぞってって自分をほめたからといって、それで大いにはげみ勇んで仕事をすることもない。反対に、世をあげて自分をけなしても、そのために、意気がくじけるかといえば、そういうこともない。つまり、かれは、世の毀誉褒貶について心を動かさなかった。
/同行Shoさん

行 程】2009.02.28(土)・函館(5:40)→泉沢から亀川に沿って5km林道を進み除雪終点の枕木山荘着(標高53m/時刻6:40-50)→林道を2.4km進み尾根に取付く(100m/7:30-40)→高圧送電線(430m/9:40-45)→山頂(733m/10:55-11:20)→高圧送電線(430m/12:08-15)→尾根から林道へ(53m/13:25-35)→枕木山荘着(53m/14:20)

・<<往路4:05・復路3:00>>

三角点】点名 桂岳 種別等級 二等三角点  緯度 41°47′21.3256経度 140°27′51.8383 標高 733.64m 2.5万図幅「桂岳」(X)-245546.186m(Y)17819.876m 現況状態 正常20080710 所在地 北斗市国有林函館事業区239林班 <点の記 埋標明治42.9.2:湯ノ沢川に沿って西へ約8.5km進んだ地から南の沢に沿って1.2km遡行して尾根の国有林防火線に出る。西南に進むと町村界に至る。町境にそって700m西北進んだ山頂。S53年7月17日更新柱石長0.79m>

コースの地形】・狭いながら、亀川に沿う河岸段丘は、河口から7kmにある鴉沢分岐まで進んでも高度差90mに過ぎないし、八雲層の河床からの比高も2m前後と低い。小さく蛇行しながら静かな地形が続いていた。

・枕木山荘の500m手前に新幹線「渡島当別西3,880m」トンネルの坑口があった。ほぼ八雲層を貫いている。トンネル工事は特に「浸水崩壊度、モンモリナイトの有無、褶曲軸(背斜・向斜)位置、断層、湧水量・・・」が調べられるものだ。ずりはサラキ岬に盛り土されていた。

・尾根取付きから標高280m付近まで続いてる八雲層の地形は、斜面も尾根も緩やかな地形であった。・標高300~420mの尾根の範囲は中生代粘板岩(上磯層群)で、周囲を八雲層に囲まれたブロック状の領域(東西2km.南北3km)にその上磯層群が露出している。この領域は鴉沢側も桂ノ沢側も、林道から尾根に上がるのは容易ではないほど岩尾根を含む急斜面が発達していた。送電線を超え、再び八雲層域の緩斜面を登ると、標高500m以上の領域は鮮新世末期の溶岩円頂柱(角閃石デサイト)の桂岳。この度のコースは林道〜定高の尾根〜山頂直下の緩斜面〜溶岩円頂丘と続いていたから、山スキーの障害となる地形は全くなかった。

コースの森林】亀川沿いはスギ植林の先進地だ。7kmほど続く河岸段丘上のスギ林の中を行く。沢沿いには天然生のサワグルミが林立していた。林道の分岐標高100mに珍しいクリ植林が健在であった。直ぐ尾根に取付く。間伐路に沿って尾根に上がれた。クリ、スギ、カラマツ、トドマツの植林が続いていた。標高200m付近までの尾根は繰り返し伐採されてミズナラを主とした二次林。標高400mまでの尾根は伐採の繰り返しがあまりなかったことからブナ二次林。400mを越すと原生的ブナ林の尾根が続いていた。標高600mを上限に植林地が配置されていた。頂上付近までブナ林が上昇し、尾根や山頂の風衝の地にダケカンバも混じっていた。

・ルートの尾根から展望すると、ヒメコマツやヒノキアスナロの分布は、中生代粘板岩・チャート(上磯層群)を基盤とする岩角地を含む急峻な地形の領域に見事に重なっていた。


ルート(赤線):図をクリックすると2.5万図に拡大
枕木山荘から頂上=距離7.3km/沿面距離7.4km/標高差681m/累積+745m-76m/仮想時間02:40>
(内・林道部分=距離2.4km/標高差40m/仮想時間0:40) 


写真 除雪終点・標高53m・6時50分:枕木山荘発<泉質含硫黄・ナトリウム-炭酸水素塩泉/非循環/源泉沸かし湯>


↓写真 鴉沢桂の沢分岐・標高100m<河岸段丘に植栽されていた稀なクリ植林>


↓写真 尾根取付きの作業道跡を登る

・標高120m<左にカラマツ植林、右にトドマツ植林Sho氏の右手は太めのクリ>

<八雲層の緩やかな地形を行く>


↓写真 左右の斜面の植林地に挟まれた尾根の保護樹帯・標高160m

<ミズナラを主とした二次林でクリが稀に混じる里山風景:頁岩・凝灰岩互層の八雲層域>


↓写真 標高300m付近はブナの二次林

<このあたりから中生代粘板岩域>

<これまでの八雲層と違って、左右の斜面には植林地が見えなくなってきた>


 

↓写真 標高400m付近のブナ林

<保護樹帯として主要な尾根に配置され保存された原生的ブナ林>

<斜面は伐採された60〜70年生の古い二次林>

<中生代の粘板岩・チャート域で左右は急斜面で植林地はほとんど見えず>


↓写真 標高420m付近から桂岳西面を望む

<傾斜変換点500mラインから上は溶岩ドーム>

<黒い面はトドマツ植林・上限は標高600mに止まる>

<林道終点から西に延びる痩せ尾根にヒメコマツ林が生立>

<ヤセ尾根は中生代粘板岩・チャート、植林地は新第三紀八雲層、最奥が鮮新世の溶岩ドーム>


↓写真 同上のヤセ尾根のヒメコマツ林を望遠した

<奥から褐色の樹冠はカラマツ植林-黒色はトドマツ植林-谷壁に伐採跡の広葉樹二次林>

<手前のヒメコマツ林のヤセ尾根は粘板岩・チャート域>


↓写真 標高410mの尾根を行く

<雪堤の発達したブナ天然林の尾根>

<中生代ジュラ紀(?)の粘板岩チャート域の定高尾根>


↓写真 桂の沢のヒメコマツ林とヒノキアスナロ林

<標高430mの鉄塔から:手前の斜面にヒメコマツ林、奥の斜面の黒い塊はヒノキアスナロ林>

<中生代粘板岩・チャート域は、八雲層に囲まれたブロック状の領域>

<鴉沢側も桂ノ沢側も、林道から尾根に上がるのは容易ではないほど岩尾根を含む急斜面が発達していた>


↓写真 同上望遠:雪崩斜面の間に残された岩尾根に生きるヒメコマツのようす



↓写真 右端に烏帽子状の岩部岳・円錐の池ノ岱山・中央の白壁が松倉山・右が大千軒岳


↓写真 右手前から尖岳、袴腰岳、四角錐の七ツ岳、最奥の大千軒岳・前千軒岳


↓写真 未踏の三山:左に瓜谷山・中央に三角点〔点名瓜谷岳〕・右端の梯子岳

<木古内中野川流域の梯子岳方向に延びる谷間にヒノキアスナロ林が見える>


↓写真 桂岳の南無名峰を行くSho氏


↓写真 桂岳から函館山

<桂岳の東面は、大きく切り取られて函館から目立って見える>

<大当別川源流で、幅1000mの大きさで伐採跡になっていた>

 


↓写真 二等三角点から不二山、袴腰山、毛無山と線上に重なり

右奥に駒ヶ岳、左奥に二股岳と見渡せた


↓写真 左に雪崩斜面の発達する焼木尻岳、中央に平頂の峠下無名峰、最奥は狗神岳

<分水嶺を挟んで、檜山群流域〜上磯・函館の山域は、見たとおり「丘陵」と読んでも良いくらいだ

 


↓写真 厚沢部川流域の向こうに、左から乙部岳、鍋岳、右に雪崩斜面の焼木尻岳、峠下無名峰

<最奥左端に遊楽部岳>


↓写真 尾根に伐採から免れたたブナの大木

<40年前はごくごく普通のブナ林だったのだが今は?>


↓写真 カラマツの生木にクマゲラの食痕

<穴の壁は、鋭いノミで掘り出した痕に見える> 

 


↓写真 山頂で。背景に見るブナ<ダケカンバが混じる>

トップページへ 頁の先頭へ Sho氏のサイトにもどうぞ
inserted by FC2 system