2010.04.24(土) 

三等三角点「利別」は、緯度42°34′47.2389経度140°09′09.1595標高1021.37m地形図-室蘭-大平山-二股温泉、所在地今金町ピリカ。(註)利別岳は仮称.

利別岳は、大平山、長万部岳、カニカン岳に挟まれたトライアングルの中程にある(山頂からそれぞれ7.7km・3.1km・3.7km)。トライアングルの領域は、先第3紀の基盤岩が隆起露出した地域で、900m〜1000m程度の定高のだだっ広い稜線が広がっていた.積雪期のそこは思わず「天上の楽園」だった。思えばトライアングルの北に宮内温泉、東に二股温泉・奥ピリカ温泉と「地上の楽園」が配置されていた。
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→道道836号島牧美利河線の除雪終点(ダム湖からほぼ5km)から入山.
→除雪終点7時20分
→ペタヌ橋8時20分
→尾根取付き→9時55分
→頂き12時00分
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利別川支流のペタヌ川源流域最高峰の利別岳(仮称)は泊川源流との分水嶺にあって、今金町と島牧村の界にある。

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↓ 利別川の支流ペタヌ川出合い。例年より低温の4月、積雪深も70cmもあった。付近の標高は300mだからまだまだ植林の領域であるけれど、ペタヌ川を進むに従い植林に相応しくない、標高だけではそれを判断できない状況が見えてきた。



↓ ペタヌ川から利別岳(仮称)方向を望む:ペタヌ川に向う尾根の列。奥の尾根に島牧側からの烈風で発達する雪庇が見える。中の尾根を見ると、上1/3がダケカンバ林、下の2/3はブナ林が見渡せる。前の尾根にはダケカンバ二次林が密生していた。かなり深山に属するが、ダケカンバ二次林は、ブナ林を皆伐した後に火入れしてトドマツを植栽した跡地だ。植栽したトドマツはその後の経過でダケカンバ二次林に自然に置き換わった.


↓ 置き換わったダケカンバ二次林の様子(林内)。11〜12cm程度のダケカンバ゙の幼木。10m*10mの本数は20本程度だったから2,000本/haの高い密度になる。しかし植林したトドマツは一本も見えないが?ここは標高550m。一般山地で600m以上は皆伐-植林しないとしていたから、ここはその基準には触れない領域だ。



↓ よく見渡すと植栽されたトドマツが川縁の凸部に痕跡程度に立っていた。1970年頃のトドマツ植林と思われる。40年生のトドマツだ。標高も、土地生産力も、植林地としての基準を満たしている。だがしかし、植林の可否に残雪終日への基準を加わる必要があった。ペタヌ川流域の雪解けはかなり遅く、残雪上にブナの新緑が見られる地域なのであろう。



↓ ブナ帯からダケカンバ帯に移行するあたりの凹傾斜面からペタヌ川源流域を遠望する。大らかな地形が続いていた標高700m付近。



↓ 稜線上に出て、行く手を阻む雪庇の山。祈りをこめて右手を回って向こうに出た。実は雪上のヒグマの通った足痕に誘われて選んだだけだった。ヒグマの足痕から雪崩の危険を回避できると考えた。ヒクマの通り道が無かったら左側を通ったであろう。



↓ この季節、ヒグマが1000m程度の尾根を行き来していたのである。子熊二頭、母熊1頭の足痕で右側を通って上に出ていた。何故分からぬが、雪庇の上のピークに立っていたようである。何故ピークに立ったのか。



↓ 右が母熊、左に子熊二頭の足痕。



↓ 今朝のミゾレが氷結していた。



↓ 一つの鞍部を下ると一息で山頂に至る。なかなか立派な山容である。



↓ 向こうに続く尾根を越えて、まもなく利別(点名)の頂きだ。最後の斜面900m付近の雪原はダケカンバ低木林地帯だろう。右手も左手も深い谷に落ちる急斜面だが、幅の広い凸斜面はスキーアイゼンが良く効いて快適に頂きに至る。{カリカリだったらどうだったろうか。その場合私にはアイゼン・ピッケル必須か。}



↓ すぐ先が頂きだ。先を行くSHO氏。ダケカンバ低木が顔をだしていた。左側がカニカン岳へ続き、右側が大平山の稜線へ・・・。ペタヌ橋でチョット小雨に会いはしたが、今日の頂は青空を期待していた。しかしなかなか雲量10のままだった。



↓ 頂にて:泊川の谷間の向こうに狩場山山塊。右手のガリガリ岩の三角形は点名・南岳。



↓ 先第3期(ジュラ紀相当)の基盤岩が露出するカニカン岳・大平山・長万部岳トライアングル域の南にあるカニカン岳(960.8m・写真の左側の頂き)を見る。 連なる稜線はほぼ定高に続いて準平原のようだった。これが大平山への稜線も同じように幅の広々とした尾根が続いていた。利別川源流の稜線も同様に大平山から長万部岳まで続いていた。カニカン・利別・大平・長万部と続く天井の平原を、「カ利大長準平原トライアングル」と感動して呼んでみた。



↓ 雲が被って頂を見せなかったが、泊川流域、千走川流域、賀老高原、狩場山塊の地形的特徴は見て取れた。



↓ 右のピークが利別川を挟んで長万部岳、左の奥に黒松内岳の姿が見える。低平地は歌才原野。



↓ 利別川源流域



↓ 泊川の支流小金井沢右岸にあるガガとした山。南南東斜面全体が岩が露出している三等三角点・点名「南平」。小金井沢奥に秘湯「黄金温泉」がある。温泉付近にマンガンの新島牧鉱山があった。数年前訪ねた黄金温泉は長万部の二股温泉と同等に古い地層に湧いて乳白色の色合いも神秘的な秘湯だった。

   
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