2010.05.15(土) 
→亀川登山口.7時20分
→鞍部.7時55分
→桂岳反射板715m.8時20分
→鞍部.9時05分
→無名峰681(仮称・桂東峯).9時40分〜9時50分
→鞍部.10時20分
→登山口.10時50分.
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・桂岳は茂辺地川、亀川に分水していて北斗市と木古内町を界している。その地形配置は函館平野の気象におおいに関連している。特に冬期の降雪量においておおきい。大千軒岳周辺の豪雪地域の東縁になっている桂岳〜桂無名峰681(仮称・桂東峰)〜点名・釜谷山〜当別丸山に続く連山は、寡雪地域の函館域を隔てる衝立のはたらきを果たしているようだ。大千軒域に入るJR泉沢駅と函館域に含まれるJR渡島当別駅の最深積雪量のデータにその豪・寡の違いをみることができる。
・下図は函館山からみた点名・釜谷山、桂東峰、桂岳の展望図である。展望図の尾根に描かれた赤い線は、御料林の森林管理に設けられた歴史的な歩道であり、今も第一級の歩道であった。
・春の花情報に誘われてHさんと桂岳を目指した。同時に、山友らが昨年冬期に登頂していたので気になっていた頂き、無名峰681mを訪ねることになった。無名峰681mは桂岳東北東方向2.3kmにある。
・展望図の尾根に走る赤いラインは、御料林時代に森林火災延焼防止のための防火線なるもので、民有林との境に設けられた。サーベルを下げた官吏が乗馬して森林管理にあたったともいわれる優れた歩道だ。往時幅5mとも言われた。歩いてみると毎年刈り払われているもようで実に心地よい尾根道だった。
・無名峰681mから点名・釜谷山経由して尾根道(防火線)を南下しで林道に下りるのも、森林をおおいに楽しめてハイキングコースとして第一級のものであろうと思った。何れ心みたいルートである。
・第一級のハイキングコースというのは、春植物にめぐまれて「防火線花街道」の趣もあり、幅の狭い尾根の土壌が乾燥して心地よく、笹丈が低く森の中をよく見とおせて明るく、ブナを主とする落葉広葉樹の四季折々のたたずまい等、差し渡しを越える道幅の要素も加わるからである。深い森の印象もいい。
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・登山口付近の痩せ尾根や岩角地に生えているヒメコマツ林:林床は薄くて低いササだからこのような尾根は突破しやすい。痩せ尾根や岩角地の発達は旧日高古性層粘板岩域が関連している。


・美しいブナの二次林だ。トドマツ植林のために皆伐され作業のための通い道だったりして芽生えたブナが立派に林になったものだ。第一級の歩道がその二次林の中を通って歩きやすい。


・明るい紅色に輝く新葉はシュリザクラだ。シュリはサクラ属の中で珍しく通直な幹をしている優れた用材だ。このようにシュリザクラが集団で生えているのはあまり見ないことだ。トドマツ植林地の中に凹形の緩斜面があって、ここはやや湿った土壌である。トドマツが、他の植生に圧倒されてしまい、植林地がシュリザクラ林に取って代わられたものだ。


・オオバキスミレ:谷間の湿った斜面、雪崩れ斜面などに密に生えることが多い。多雪地帯が本籍かと思われる。無名峰へ向かう尾根から大当別川側に雪崩れ斜面がある。函館山からもそれと分かる大きさだ。ヒメヤシャブシ・タニウツギ群落に林床はオオバキスミレで埋まっていた。


・馴染みのエンレイソウ・・・。濃緑の花被片と葯と柱頭がいい。


・鞍部から大千軒岳が展望できた。大気は良く澄んで、尖り、袴腰、親、七つ、牛、馬、灯明、丸、長・・・


・桂岳登頂後に向かうことになった無名峰681方向(東南東)の前ピーク(送電線の鞍部から撮影)


・熊の通い道か!この歩道は、下図のシラネアオイのごとく株立ちで生えている植物がとても目立った。多年草が株立に生立するのはどのようなことがらであろうか。


・如何であろう!(株立ちは熊のお腹を通って種子が落ちた場所に違いない。)エンレイソウの果実は「山ソバ」といって里人にも食されることもあるようだ。


・桂岳手前のピークに設置されている北海道電力K・Kのマイクロ回線電波反射板。右が北斗市大当別川、左が木古内町亀川。


・御料林(明治憲法下の天皇の財産)の「宮」のデザインが彫られた花崗岩標石、奥が国土踏査のカラー標石が並んでいた。


・御料林の図根点と国土調査の標石


・展望図三枚:一図:右から「大千軒岳、前千軒、袴腰岳、百軒岳」、手前に七つ岳山群、尖岳、袴腰岳


・二図:右から「周防堂山、松倉山、池の岱山、岩部岳山塊」


・三図:右から雲に「覆われた岩部岳、奥丸山・丸山、手前に灯明岳」


・茂辺地川支流の西股にある袴腰岳(一昨年冬期登頂できた)。手前の斜面は、削られたブルドーザー走行路でブナ林の伐採(択伐)跡地。右の裸地は皆伐跡地。


・国土調査(地積調査)多角測量の図根三角点。


・桂岳から鞍部に戻り、送電線下から森林管理歩道を伝って無名峰681(仮称・桂東峯)に向かう。痩せ尾根のブナ林下のに設けられた管理歩道は、差し渡しを越える幅に毎年刈り払われているようだ。行けども行けども足を下ろす場所に窮すカタクリの絨毯が続いていた。(以下三枚)


・無名峰681付近の歩道の様子


・函館山方向の斜面はヒメヤシャブシ・タニウツギ群落(函館山からも遠望できる雪崩れ斜面)。向こうは皆伐跡地。
下図:ヒメヤシャブシ低木林の林床はカタクリの絨毯。


・無名峰681(仮称・桂東峯)から南西方向のピークは点名・釜谷山。尾根の右側が御料林、左側が民有林(大釜谷川)。下図は無名峰681の頂き。


・今年はブナの実は並作か!ブナの花芽がいっぱいに膨らんでいた個体。


松前半島の岩角地に生えるイワナシ。驚いたことに、ここでは歩道に絨毯のように広がっていた。


・登山口手前の看板に誘導されて沢に下りると小粒ながら美しい滝が現れた。
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