親岳 (湯の里) 標高695m  (N41,38'09.12"E140,14'18.90")


2010年11月13日 10:50 AM

・七ツ岳を盟主とする湯の里ツラツラ川源流域7山の第2峰。灯明岳・牛岳・馬岳は3月、丸山・長岳は5月、七ツ岳は6月。親岳はこの度の11月だったが、雪を踏むことなく頂に立てた。大千軒岳周辺の同高の麓は雪を頂いて雪景色だった。
・湯の里から見る七つの峰々は、日本昔話の山また山を彷彿とさせる。いずれも溶岩ドーム(溶岩円頂丘)古くはトロイデ - 鐘状火山と呼んだもので、新第三紀中新世中期の泥岩〜頁岩層(八雲・国縫層)を鮮新世に粘性の高い溶岩がドーム状に貫いたとされる。他にないこのいい風景を、雪を頂いた七群を写真に記録したいと思っている。
・同行SHOさんのページ Kobさん

20秒メッシュの2万5千図福[七ツ岳]
赤は往路、青は復路
N・Eは経緯度で頂でGPS表示値
カラン沢林道のco250手前で橋が落ちていた
直登沢は林道敷を流路に変えて落ち橋に流れていた
直登沢から落橋までほぼ250m区間を河床に変えていた
直登沢のco370付近まで等高線間隔は広い
この間は押出し・地滑地帯で流路を年によって変えるらしい
ここは傾斜強い扇状地の模型を見るようだった
往路co420から谷壁が迫りV字谷になる
往路445m左岸から直登沢(復路)が垂滝となって落ちていた
垂滝はやや手こずるから左を選んだ(直登沢を諦めた)
往路600m付近で熊のねぐらに出来わした
復路はメンバー一致で熊のねぐらを避けるルートとした

1 親岳を東南東のカラン沢林道から望む。ルートは中央の左に伸び大きな尾根の向こう側の沢から頂に至る。親岳右側に雪崩荒地が見える。崖が露わになった3列は親岳ドームが頁岩層を押し上げてできた。緩やかな斜面を選んでトドマツ・スギ・ブナが植林されていた。 

2 直登ルート沢の入り口。洪涵地に大変な数が更新したサワグルミ幼樹林。林床は湿性要素の植生が占める。

3 V字谷が始まる。谷壁は積雪で埋まり表層剥離を繰り返す地形だ。森林への遷移が繰り返し退行する。

4 直登沢は、左岸側に現れた垂滝だった。うっかりしてしまって、復路にやっと分かったことだった。往路に分かってもよじ登るには工夫がいる。

5 案の定恐れていた熊の穴が現れた。穴の内外がきれいにメンテナンスされた様子には驚いた。奥行きほぼ2m程度か!奥で左に曲がる穴(寝床だろう)が広がっていた。寝床に熊が寝ているようだったから覗くことをやめてそそくさと立ち去る。熊は当方に気付いただろうか。復路はこの尾根を避けた。
◆標高600m付近の南東方向のブナ林の尾根で、チシマザサの薮を歩いているときいきなり目に入った。入口の土間と立壁が真新しく、一瞬土壌調査のための新しい断面かと思ったが、人里からはるかに遠い場所だから土壌調査に入る山域でもなし、それはすぐ否定した。
◆山に入る前から、熊の穴がルート上になる確率はかなり高いな〜と危惧していた。案の定というべきか、穴の状況を観察するのももどかしくそこを通過した。もちろん、熊は穴の中にいたであろうと思われた。人の気配に気付いたかも知れない。帰路は隣の尾根を下ることにメンバーの意見は一致した。

6 タケノコを期待できる濃厚なチシマザサの薮漕ぎが続いたが、右に寄って濃い笹薮を避けるようにして雪崩斜面の縁を選んび前進した。

7 西側から長楕円形の高みに上がった。三角点はないが長楕円形の高みの東側にある最高点 (N41,38'09.12"E140,14'18.90")を直ぐ探せた。写真は頂上の位置と判定したブナ。頂付近は立派なブナの純林だった。頂の群落組成

8 頂から遠望:知内丸山・ミナゴヤダム湖・低平な新第三紀層の丘陵性山地・牛岳ドーム。目の前の谷間に、段丘面に立ったブナの巨木が疎に立っているのが分かる(手前に斜面のブナ林。その下平坦地に左右に広がっている林)。

9 雪崩斜面。地形図で等高線が込み合っている個所。岩が露出していればヤバいと考えていたが、雪崩荒れ地低木林(ヒメヤシャブシ・タニウツギ群落)だった。大型草本の立地もそこここにあって、熊の豊かな食料供給地だろうと思った。

10 ブナ林の若返り技術:8の拡大図。ブナ林の若返り技術<胸高直径50cm以上の立木をヘクタール当たり33本残し、それ以外の立木と低木と林床のササを全て伐採・刈りはらって、10年間観察し続ける>。カラン沢と命名、ブナ母樹法(天然更新歩技術)

11 若返り技術の結果:残置したブナと更新したブナ。若返りに成功し何れブナ美人に向かって生林するであろう。

12 斜面のブナ林:ブナの混交率100%。他の樹種をちょっと見には探せなかった。
 
親岳山頂の植生
ブナ-ナナカマド-チシマザサ・ハイイヌツゲ群落
階層 優占度階級 高さm
高木階 ブナ 14
ナナカマド 12
亜高木階 ブナ 4
ナナカマド 4
ハウチワカエデ 3
低木階 チシマザサ 2.2
ハイイヌツゲ
ツルシキミ
ハイイヌガヤ
つる階 ツルアジサイ 3
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