この14年程、6月に亀田川沿いのスゲ植物を調べています。6月になるとスゲ類の果実がはっきりしてきます。いくつかの種類を家に持ち帰り瓶に入れて観察しました。偶然、アズマナルコスゲの葉裏に蝶の幼虫を発見しました。幼虫から名前を調べるのは素人には難しいものです。しかし、食草から絞り込めます。キーワード「アズマナルコ、食草、チョウ」で検索した結果、オオヒカゲであることがわかりました。卵から飼育すると、越冬期間を入れ約8ヶ月と長いようです。幸い、持ち帰った幼虫は5齢なので、一カ月ほどで羽化します。一頭だけ個別飼育をすることにしました。オオヒカゲの飼育期間中、幼虫が餓死しないために、新しいスゲを採集して、食草を取り替えました。心配したのですが、飼育に成功し、無事羽化しました。幼虫の成育状態を簡単に下記にまとめておきます。
 凪人は生きた姿を見ているから、羽化までの様子はよくわかりますね。
 爽太は、幼虫がスゲの葉を食べているのを見ているから、その後の飼育記録を知らせます。
6月4日
(採集日)笹流ダムの上流、林道わきの湿地からスゲを採集してきた。
アズマナルコスゲの葉裏に、身を隠していた幼虫を発見した。
蝶の名前を調べると「オオヒカゲ」とわかった。
5齢幼虫のようだった。
絹光沢の大型の美しい蝶で、あまり目にすることができないことが分かった。
我が家で、飼育を試みることにした。
:6月10日
脱皮して5齢から6齢幼虫へ
5齢から6齢に脱皮した。
脱ぎ去った殻が、白っぽく尻のほうに見える。
6月16日
新しいスゲ(アズマナルコ)に取り換える。 自分で新しいスゲに移動した。
6月16日
葉の幅ほぼ2mm位を「急がず休まず」スゲの葉を丁寧に採食している、
   その後動きが鈍くなり、その後動かなくなる(仮眠)。体長52mm。
   21時に再び動き出す。体を後ろに弓のように動かして伸びた。 
6月17日 朝5時
15分に一個づつ、直径3mmの糞を出している。
一日の糞量:4×24=96個
フンの中身はスゲの繊維
6月17日
13時 体長40mmに小さくなる。

6齢幼虫7日目
脚がしっかりした色合いになってきた
体長は40mm、体幅は6mm弱
21時 体長35mmにさらに小さくなる。
この間、弓のように体を反ったり仮眠したりしていた。6月18日 変化なし。
6月19日
口で糸をスゲの葉裏に吐きつけた
体を反転させて頭を下にした
お尻を、吐きつけた糸に結合させた
動きが止まった
6月19日
しっかり蛹の形になった
縦20mmに縮んでいた
6月19日
同上:体の側面
6月19日
同上:頭部の模様
6月19日
同上:夜の様子(変化なし)
6月19日
6齢から蛹へ脱皮した時に落とした脱皮殻(ぬけがら)
7月2日 16時
蛹になって14日目
蛹の側部の色に変化があった
7月2日
同上
7月2日 22時
いよいよ羽化か?と緊張する
7月3日 朝5時29分
間もなく羽化・・・目が離せない
7月3日 朝6時19分
チョット目を離した
なんと羽化が終わっていた
7月3日 朝6時22分
同上:少し上に歩いた
7月3日 朝6時24分
ぬけがらも美しい
7月3日 朝7時
動き歩きもしっかりしてきた
7月3日

うわさのオオヒカゲ
うわさどおり「絹光沢の美しい大型の蝶」だった


7月4日バンタンの誕生日(米国の独立記念日)に野外へ放す
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